2025年のある春の日。
東京、荻窪駅から、私はバスに乗りこみ、一番前の席に座りました。
すると、80歳くらいの女性が、所在なげに、バスに乗り込んできて、料金を払うのに、運転手さんに、カギを見せたり、そのカギを一生懸命、suicaで払うかのようにタッチしようとしている。
運転手さんは、「(バス運賃は)お金か、suicaで払ってください。」 とその女性にに言うと、、女性は意味がわからないみたい。数分その状態。
運転手さんは、らちがあかないと思ったのか、その女性に、「(もう料金のことはとりあえずいいから)中に入ってください!」と声をかけた。
その人はわからないまま、席に座った。
ああ、、この方、認識があいまいになっている人だ、、と、私は気がつく。
そして、、、私は、自分が降りるべきバス停(終点のひとつ前)まで来たが、この女性のことが気になったので、そのままバスに乗り続け、終点まで行きつく。
運転手さんは、「終点だから降りてください」と、その女性に声をかけたが、その人は座ったままだったので、私は、降りたバスにもう一度乗り込んで、その人ににっこりして、「もうここで降りるほうがいいみたいですよ。降りまょうか。^^)」
と声をかけると、その人は、ああそうなの、、、と、一緒に降りてくれた。
運転手さんは、「この人のことをどうしようか、自分が営業所まで連れていってもいいのだが、、」と、私におっしゃった。
交通機関の人は、交通ダイヤをどれだけ重要視していることか、正確な時間の運行を遵守しようとしているのか、少しは知っていたので、、
もし、この運転手さんが、この女性を営業所までどんなに急いで連れていっても、往復15分はかかるだろうから、たったそれだけの時間でも、このバスからそれ以降の時間帯のバスには全部遅れがでてきて、この人たちたいへんだろうな、、、と、とっさに思った。
それで、「私は、一時デイサービスで働いていたことがあるので、私がこの人を安全に何とかしますから、あなたはどうぞ行っていただいていいですよ!」
と、伝えた。
バスの運転手さんは、「本当にいいんですか?、、、正直、助かります!」
それで、私は、そのバス停で、その女性と2人になった。
この日天気で、雨が降っていなくて本当に良かった。
彼女にたわいない話を、笑顔でした。
あなたのお名前は何ですか?
どこから来ましたか? お家はどこでしたかね。。
この人は、にこにこしながら、「わからない。」と答えた。
それで、「じゃあ、ごめんなさい、あなたが持っているバック、重そうですね、、この中に、何か、あなたの連絡先がわかるものが入っていますかね、、ちょっと見てもいいですか? 」
その人は、どうぞ、と、快く言ってくれた。(ありがとうございます!)
すると、バックの中から、デイサービスでのこの人の記録ファイルが入っていた。
この人は、そのファイルを手に取って、パラパラめくり、
「この写真はね、、私が、~~した時のもの。これは○○さん。これは花見に行った時のだよ、、、」
などと楽しくお話してくれた。おおおそうですかあ、、と、私も頷く。
その書類の中に、この人の名前も書いてあった。
それで、「あなたは、○○さんというお名前なんですね。そっかあ!わかって嬉しいなあ。」
というと、この人は、「そうよ!私は、○○さん。」
そして、このファイルの一番上に、○○デイサービスの名称と電話番号が貼り付けてあった! これです、私知りたかったこと!
それで、この人に、「このデイサービスに行ってらっしゃるんですね。
私、聞きたいことありますから、ここに電話してみますね、、」と伝えた。
それで、私は自分の携帯から、その杉並区のデイサービスに電話をした。
そして、私は簡単に自己紹介して、「○○さんと、今、練馬区の、、、で一緒にいるんですよ、、、」と、用件を伝えた。
すると、先方は、おおいに驚いて話してくださったことをまとめると。
この○○さんは、杉並区の自宅から、この日の朝9時に一人で家を出て、それから、たった今夕方4時半、私が電話するまで、「行方不明」で、家族が警察に捜索願いを出して探していたそうな。。。
えええ、、6時間半も、この人は東京をさまよっていたの???><)。。
彼女は疲れを知らない、はつらつと、しかし、どこか間延びしたような明るさでここにいた。。
それで、警察が、私たちがいる場所まで来てくれて、彼女を連れていき、家族に会わせるから、、ということになった。
私はほっ、とした。
「パトカーがそこに行くまで少し時間かかるから、それでもあなたは待っていてくれますか?お時間大丈夫ですか?」
「はい!(そんな、この人おいていけませんてば。)」
それから、警察が来るまで、40分間かかった。
私は彼女とたわいない話をしていた。
認識があいまいになる、、って、その人オリジナルの別世界を持っているかのようだ。どの人の設定もその人らしい、あいまいのさせ方だなあ、と、思う。
この人は、空行く雲の形がおもしろいといった。
街路樹のいちょうの枝ぶりがおもしろい、と、いった。
鳥の声がおもしろい、と、いった。
まるで、少女のようだ。
いいねえ。。
それから、私はこの人に、生年月日を尋ねた。
「○○さんは、何年の何月何日に生まれたのでしたったっけ?」
その人は、かわいらしく首をかしげながら、、少し、いや、たっぷり時間をかけて、その日にちを思い出した。きっぱりとして、
「昭和12年6月7日。」
おおお。そうなんですか!(すごいすごい!思い出してくれた!)
そして、彼女は、自分が別府の生まれであること。お姉さんがいて、
「お姉ちゃんとは仲が良くて。 私は、別府で、お姉ちゃんと一緒に住んでいる。別府は本当に良いところ。」
と話をしてくれた。
あああ、、たぶん、、それは、過去そうだった、お姉さんと一緒に住んでおられたことがあったんでしょう。
今のご家族とは杉並区の自宅で暮らしておられるのでしょう。
こころはどこまでも飛んでいく。
時間のしばりも超えて。
これはある意味自由だね。
「そっか~。別府の生まれなんですね!私行ったことないけど、すごくいいところなんですよね。 お姉さんと仲良しで良いことですね。」
この人はにっこりした。
それで、、警察の方が迎えに来てくれるまで、和やかに会話を続けようと、ちょっと努力した、、 この人の協力もあったと思う。
警察が来た。
30歳くらいの若い男性警察官。50歳くらいの男性警察官。
若い警察官が、まるで、自分のおばあちゃんを迎えにきてくれたかのように、明るくふつうの感じで、話しかけてくれた。
○○さんは、その警察官に対して、最初から「安心できる大丈夫な人。」という判定をしたのがわかった。
「家族が待っているから、あれ(パトカー)に乗って、行こうね!」
というと、彼女が、私を振り返り、
「あなたも一緒に行こうよ。」と言う。
えっ、どう答えたらいいのだろう、、と、一瞬困ったら、
その若い警察官が、
「それはないよ。この人とはここまで。おばあちゃん、家族のところに行こう!」
と笑顔で言ってくれる。
私は、この○○さんが、何だか愛おしいような気持ちになり、
「○○さん、お会いできて良かったです。ありがとうございました。」と伝えた。
すると、その人は、にっこりして、「また会いましょうね!」と、言ってくれた。
すると、また、その若い警察官が、
「いやいや。それはないから。この人とはここまでだよ。」
で、私は、警察官の方々に、「来てくださってありがとうございます!この人をよろしくお願いします」、、と、託して、見送った。
警察官、頼りになる!
警察、必要!
ほんと、明るくやり取りしてくれて助かった!
(税金払わなくちゃ!)
後で、帰宅してから気がついたこととして。
その○○さんは、朝9時からずっと町をさまよっていて、、私が遭遇した時、4時。
その間、この人、水を飲んだのか?(バッグの中にペットボトルはなかった。)
また、トイレも行けたのか?><)。
もしかしたら、飲まず食わず、トイレもいかず、ひたすら歩きさまよっていたのではないかと。。><)。。
認識あいまいになっている方、、水を飲むのも、食べるのも、トイレ行くのも、誰かがそれを促さないと、できない人いる、、><)。。
だから、私、その人に、まずトイレ連れていって、その次に、せめて水飲ませてあげられたら良かったのにな、、、と、思った。><)。。
長い話につきあってくださりありがとうございます。

