南インド、ジューススタンドの男の子の話。

親愛なる皆様
お久しぶりです。いつもありがとうございます。

dank u blogをマイペースで再開します。

これは昔の話。

南インド、あるヒンドゥー教寺院がある観光地での話です。
ここは、インド中から、また、外国からも観光客が来ていて、にぎわっていました。

寺院の中に入りますと、ガネーシャ神(頭部が象、首以下の身体は、太鼓腹の少年の身体。豊穣や人生での問題を解決、災厄を破壊してくれる神。)の像がお祀りされてありました。

(日本の寺院の祭壇と似通っています。私は、仏教の細かい違いはわからないので、ざっくりした説明になりますけれど。)

 

このガネーシャ神の祭壇の横に、上半身裸、ドーテイという、白いくるぶしまである長さの腰布一枚の僧侶が立っていて、お参りに来る人々を祝福していました。

私は、この時インド服ではなくて、日本人女性の普通の服装、ブラウスに長いスカート、といったいでたちでした。

特に、お賽銭をお渡しすることはなくて、ただ、お参りの列に並び、自分の順番が来た時、祭壇のガネーシャ神にていねいに一礼だけしました。

すると、この僧侶が、私に、どこから来たから聞きました。それで、日本から、と言いますと、彼は、満足した表情をうかべて、何やら、祝福の言葉をおっしゃいました。

そのあと、この僧侶は、私に、祭壇に捧げられたピンクのハスの花を一輪、手渡してくださいましたので、感謝して受け取りました。

 

ひんやりした寺院の室内を出ると、外は、35℃超えの熱い陽射しが容赦なくじりじりとしていました。
ピンクのハスの花を、鼻に近づけてかいでみますと、まるで、日本の梅干しのような香りでした。ちょっと意外でした。

 

南インドを旅する時は、水のペットボトルを所持は必須です。日射病はいつでも気を
をつけなければなりません。手にした水はぬるくなっていますが、二、三口、口に含みました。

 

その町を歩いていますと、小さなジューススタンドがありました。

内部がせいぜい畳一畳半くらいの広さしかない、掘っ立て小屋。
その外側に、紙パックジュースを売っているという、ジュースの絵とメニュー、価格が書いてある看板がありました。メニューは、

Apple/Orange
Apple/Apple
Apple/ Grape
Apple/Mango

Orange/Grape
Orange/ Orange
Orange/Mango

Mango/Grape
Mango/Mango

、、、と、このバリエーションです。
値段は全部、同じ価格でした。

アップル/アップルは、りんごだけのジュースであり、アップル/オレンジになると、この2種類が混ざっている、、

200mlくらいの紙パックジュースだけを販売しているお店であるのがわかりました。

そのお店の内部には、12才くらいの、イキイキした瞳の朝黒い肌の男の子がいて、紙パックジュースを販売していました。

 

お店の前には、白人の観光客が列をなしていて、10人くらい並んでいます。
寺院から戻ってきた白人の観光客が、さらに並ぼうとしています。繁盛しています。

白人観光客は、暑い陽射しに汗をかき、早くジュースが飲みたいのがわかります。

 

12才くらいのインド人少年販売員。売るものが紙パックのジュースであり、種別に気をつけておけば、ジュース1つの値段は同じですから、販売自体はそれほど難しくはなさそうです。

しかし、よく見てみると、このお客さんの列はあまりはかどって流れてはいません。
なぜだろう、と、少し離れて観察していますと、わけがわかりました。

 

店内にある冷蔵庫には、これらのジュースが、種別に整理して入っているわけではなくて!
全部の種類のジュースが、ランダムに入っているらしい、がわかりました。
とりあえず、全部、冷やしとこう、と、ざっくりと入れたらしいのがわかります。

 

なので、お客さんは、自分の注文を、(英語で)<オレンジ/マンゴー2つね。>などと、言いますが、
少年は、その度に、冷蔵庫を開けて、その商品を探して、、運よくすぐみつかれば良いですが、そうでない場合はたいへんです。。

なるほど、、、その冷蔵庫に入ってある状態自体が、この少年には親切ではなかった、でした。

彼が毎日、この仕事をしているわけではなくて、今日は、代わりで担当していたのかもしれません。

とにかく、、、

この子が、お客さんの列にちょっと圧倒されながらも、何とかがんばって、その目的のジュースを取ろうとしているのがわかりました、、、

しかし、、、

さらに、寺院をお参りした人々の流れがきて、彼のお店に、白人観光客がさらに並んだ時、
この方法で対応するのはもうムリ!

と、なったのでしょう。彼は作戦を変えました!

 

彼は、ジュースが何個注文なのか?を、お客から聞いたら、

その注文通りのジュースではなく!

その時、冷蔵庫の一番手前に入っていたジュースをひっつかみ、それをお客に渡すルールに変えました。

これなら、お客を待たせることなく対応できます。

はい。ジュース2個ね。(お金を受け取る)

当然お客は怪訝な顔をします。

お客が注文した、アップル/マンゴーとか、オレンジ/グレープ といった情報は全部ざっくりと抜けているのですから。

違うじゃないのよ!

もちろん、(自分の望み通りのことを受け取りなれている)白人観光客は文句を言います。

少年は、微妙な表情を浮かべて、頭をぐらぐらと動かしながら、
<今あるのはそれだけだ。>と言い切ります!

すると、、、観光客は、仕方ないなあ、、、と、それ以上の追求は諦めて、今目の前にあるジュースを手に取って、その場を離れます。

 

あとはこの繰り返しです。

お客は、自分の注文のものとは違うと言い、、少年は<今あるのはそれだけだ>と、きっぱり答える。

もしかしたら、冷蔵庫の底のほうに、そのお客の注文のものはあるかもしれない、でも、そんなことをしている余裕はないと、さっさと(彼にとってどうでもいいことは)あきらめ!

お客がたくさん並んでいて、その買いたい人たち全部に、何らかのジュースを買って、のどを
うるおしてもらって、 そして、お金を受け取るのだ!

(ジュースの種類が、相手の希望通りでなくても、観光客だって、この暑い陽射しの中、何かのジュースを受け取って、のどをうるおせるほうが絶対いいですものね!)

 

この問題解決を見事にしたあたり、、

少年でもすごいなあ、、インド人!

生きる意欲がある、というのは、、

この場の、自分のもっている事情状況の中で、
相手の望みのベースだけでも叶えること、それで自分も得をして生きていけること。

<今もっているもので何とかする!何とかできる!>、という、No Problem ! のセンスなんでしょうね。これ、必要です! ものごとの切り口を変えてとらえる方法なら、現状が同じでも、すぐにできますもの。

ということで、お付き合いくださりありがとうございました。

^^